フェレットの嘔吐

フェレットが嘔吐した場合、それは病気なのでしょうか。

例えば猫が嘔吐しても毛玉を吐いているだけならば正常な事もあります。

うさぎが嘔吐していたら超異常です。体の構造上嘔吐できないはずなので普通あり得ません。

それではフェレットの嘔吐に対して、どう考えるべきかというと

「体の構造上、嘔吐する事はできるけれども、健康な時に嘔吐する事は基本的にない」

と思っていただいてよいと思います。程度の差はあれど、何かのトラブルがある可能性が高いと思います。

それでは、そのトラブルとは何なのでしょう。

嘔吐原因自体はかなりの事が考えられるのですが、フェレットに多いもの、特徴的な物をあげてみます。

・胃内異物
・胃潰瘍
・好酸球性胃炎
・消化器型リンパ腫

それぞれどんなものか見ていきましょう。

・胃内異物
 文字通り胃の中にご飯以外の異物が入ってしまっている状態です。
フェレットの子は好奇心旺盛で色々な物をかじってしまうので(特にゴム製品などを好む子が多いようです)それがお腹に入ってしまう事で嘔吐します。
ただし、異物を食べてしまった場合は、異物はずっと胃にあるわけでではなく腸管に詰まる事多いのであまり嘔吐という症状にはでません。
それよりも辛そうにぐったりする事の方が多いです。
慢性的に、吐いていたり少しずつ体重が落ちている場合は異物と言っても毛玉のケースが多いです。毛玉の場合は腸管に流れずにずっと胃袋の中にあるケースが数多くあり、その場合は閉塞している訳ではないので、ご飯も食べますし便も出ますし、それなりに元気です。でも、胃袋の中にずっと毛玉がゴロゴロしているので、それによる胃炎をおこしたりして慢性的に吐きます。

・胃潰瘍
フェレットの胃潰瘍は殆どヘリコバクターという最近により起こる事が知られています。
ヘリコバクターはかなりのフェレットが元々お腹に持っていると言われており、それが活発になってしまうと胃潰瘍を起こし、嘔吐などを起こします。

・好酸球性胃炎
好酸球という炎症を司る細胞の一つが胃で反応して胃炎を起こしていまします。アレルギーのような状態です。(厳密にいえばアレルギーではありませんが、似たようなイメージです。)体が勝手に炎症を起こしてしまっている状態で体質的な面が多いです。

・消化器型リンパ腫
フェレットはリンパ腫という血液の悪性腫瘍がとても多い動物です。そしてリンパ腫はどこに腫瘍性病変がでるかで様々な分類を行ないますが、胃や腸に主に症状が出てくるのが消化器型リンパ腫です。しかし、消化器型リンパ腫の場合、胃よりも腸管への異常が多いので嘔吐よりも下痢や血便の方が症状としてはメインになってきます。

他にも様々な原因がありますが、今あげただけでも命にかかわるものから体質的なものまで様々です。
それでは、診断方法、治療法はどうなるでしょう。

診断方法は?

・異物の診断はレントゲン検査、造影検査、エコー検査によって行ないます。腸管の太さや胃の中身の見え方、造影剤の通り方で判断をします。

・胃潰瘍、好酸球性胃炎は確定診断が難しいので検査で他の原因ではないときに、診断的治療で判断するケースが多いです。
(診断的治療とは、その病気の治療をしてみて治るかどうかで判断するもの)
内視鏡で胃粘膜を採取して検査する事で診断が可能なこともありますが、フェレットは胃粘膜が薄いと言われているので内視鏡による採取はあまり勧められていません。私も基本的にはやりません。というより、まだ内視鏡を持っていないのでできません。でも持っていても基本的にはお勧めしないと思います。検査の負担や病気のリスクなどを天秤にかけてを考えるとメリットが少ないと思いますので。

・消化器型リンパ腫は、エコー検査、レントゲン検査で胃腸に腫瘤があったり腸管が異常に分厚くなっていないかを調べ、異常があった場合、そこの細胞を採取して検査する事で診断します。針生検と言ってお腹から異常部位目指して注射針を刺して細胞を吸引して診断する事も可能ですが、状況によっては試験開腹手術を行なわないと確定診断がつかないケースもあります。

治療方法は?

・胃内に毛玉がある場合は基本的に手術で毛玉を取り除く必要があります。腸管に異物が詰まっている時も同様ですが、詰まっている部位や物次第では内科的に治療して異物を便と一緒に出せるときもあります。診察室で、飼い主さんへ異物の説明をしているときにちょうど異物ごと便をしてくれて目の前でげんきになったフェレットもいました。しかし、内科的に可能かどうかの判断も難しく腸管へのダメージやうまくいかないときのリスクを考えますと外科的摘出が第1選択の方法になると思います。

・ヘリコバクターの胃潰瘍はこの薬が良く効く、と言われている薬がありますので、その薬を投与していけばよいという形になります。しかし、唯一にして最大の問題がその薬が果てしなく苦いということです。推奨されている容量をすんなり飲んでくれるフェレットはいないと思います。結局何種類かの薬をつかいつつ飲んでくれる調合をしていかなくてはならないので、違う意味で苦労があります。好酸球性胃炎の場合は、アレルギーのようなものなので低用量のステロイドを投与するケースが多いです。

・リンパ腫の場合は、悪性腫瘍の治療なので抗がん剤になります。診断の時点でリンパ腫の種類(T細胞型、B細胞型、グレード分類などリンパ腫は更に細かい分類があります)までわかっていると、それに合わせた抗がん剤の使用が可能になります。リンパ腫はガンの中でも抗がん剤がかなり効くガンなので諦めずに治療していく事が大切だと思います。

予防方法は?


異物は食べさせないしかありません。毛玉の場合は、換毛期にしっかり毛を取ってあげる、毛の絡まっているハンモックなどはこまめに掃除する、などが大切です。他には複数飼いの場合、たいていお世話してあげる側のフェレットとお世話してもらうフェレットが決まってくるので、お世話係りの子が結局みんなの毛づくろいをして大量の毛を飲んでしまう事も多いです。お世話係りの子はその分、人間がお世話してあげましょう。

胃潰瘍、胃炎の予防はハッキリとしていません。リンパ腫も同様です。飼い主さまの喫煙によってリンパ腫発生率があがるのではないかという話は出てきています。