小鳥の産卵


小鳥の産卵についてまず最初にとっても大切な事。

繁殖を考えていない小鳥が産卵するメリットはほぼありません。産卵は命にかかわる危険な行為です。

一番基本で一番大切な心構えです。
セキセイインコであろうとオカメインコであろうと文鳥であろうと一緒です。
大げさではなく産卵は命がけの行動であると思ってください。

という訳で、ここからは何故産卵が危険なのか、そして産卵させないためにはどうすればいいかをお話していきます。

産卵が危ない理由

そもそも産卵自体が危険を伴う行為である事
人の出産も含めて、子を産むという事は母子ともに命の危険に多少なりともさらされる行為です。他の動物でいう難産、即ち卵づまりの状態がもしも起きてしまったら、その時点でその小鳥は危篤状態と考えていい危険な状態になります。安全に産卵できるのが当たり前ではなく、そもそもリスクのある行為であるという事をご理解ください。

人による飼育環境下だと延々と発情が続いてしまう可能性が高い事
本来、野生の鳥は1年のうち限られた季節にしか発情をしません。それは発情に適した環境がその季節にしか揃わないからです。逆にいえば環境が整えば小鳥はいつでも発情します。人に飼育されている小鳥は、この状況になっているケースが多く、年中発情している事が多いです。そうなると本来なら産卵後、体を休めないといけない時期に再び産卵してしまったりしてどんどん体が弱っていきます。


発情や産卵でおきる具体的なトラブルは?

卵づまり、卵管蓄卵材症など卵管のトラブル
文字通り卵が上手く産めない状態です。卵が体内でできてから本来産むはずの時間を過ぎていても産もうとしないケースもありますし、産もうとしているけど何らかの理由で産めないケースもあります。元気そうにしていてもこの状態になっていると、例えば卵がまだ体内にあるうちに次の卵ができてしまったらもうまともな産卵は難しくなってしまいます。苦しそうにしているようなら緊急事態です。
ちなみに卵は軟卵(殻のできていない卵)でなければお腹を触って確認できますが、慣れていない人がやって卵を割ってしまっては一大事なので下手にいじらないほうがいいと思います。
 また、慢性的な産卵により卵管炎を起こしたり卵材が卵管に残ってしまう卵管蓄卵材症などがおきてしまいます。

皮膚の異常
慢性的な発情により、お腹の皮膚がのびてくることがあります。皮膚のさらに内側にある筋膜が切れてしまうヘルニアという状態になったりするとお腹が、やたらと膨らんできたりします。ひどいと立っていられないくらいになってしまいます。また、発情時はキサントーマという脂肪の炎症が皮膚に起きてくることがあります。キサントーマが起こるとその部分の皮膚はとてももろくなるので非常に出血しやすくなってしまいます。

関節の異常
発情状態は体の様々なバランスを変えるため関節にも影響を及ぼします。女の子のインコの発情時には骨に通常以上のカルシウムが付着するようになります。これが多量になり、関節部分にも付着するとそれにより関節が上手く動かなくなり歩けなくなったりする事があります。

麻痺
一言でいえば卵の産みすぎで体がカルシウム不足になった時に筋肉の麻痺が起きます。産褥テタニーという状態です。

肝機能不全
体内で卵をつくる過程で肝臓に負担がかかりすぎて肝機能不全がおこります。肝機能の低下により羽毛がおかしくなったり元気が無くなったり出血しやすくなったります。

このように、女の子の発情は産卵以外にも様々なトラブルを引き起こします。
是非とも気を付けてあげてください。

発情させないためにはどうすればいいの?

ここがとても難しいところです。
発情自体は病気ではないため、この治療で治ります、というものではありません。
基本的には生活環境を発情に適さない状況にしていくのが大切です。

発情要因として考えられるもの

日照時間
基本的には明るい時間が長くなると発情がおこります。室内飼育されている小鳥たちは夜でも明るい環境にいることが多いので自然と発情が促されてしまいます。なので、この部分で発情対策をするならば暗い時間を増やしてあげればいいのですが、ここもやるなら色々と注意点が多いので下手にやってしまうと逆効果で、発情を助長してしまうこともあります。例えば、夜明るい部屋の中でインコのケージにだけ布をかけて薄暗くしている、なんていう状況は逆に発情をさせてしまっている可能性があります。やるなら真っ暗にして連続で暗くしなければなりません。

栄養状態
基本的に発情とは、子供を育てていく事につながりますから自分に余裕のある時にします。逆にいうと自分が生きていくのに精いっぱいなくらいの状態であれば発情はほとんどしません。なので、太っている小鳥はダイエットをする事でかなりの発情抑制が期待できます。しかし、小鳥のダイエットはしっかりとコントロールしながらやらないと危険な事もあるので自己判断でやる事はお勧めしません。動物病院と相談しながら細かくチェックしてすすめていかないと、発情はなくなったけど体調をくずしてしまったなんてことになりかねません。

気温
こちらも単純に暖かい季節の方が発情をします。なので、発情抑制をするには寒くすればいいのですが、こちらもそれで体調を崩してしまうおそれがありますからお勧めしません。


子供を育てるための巣や隠れ家があると小鳥の発情は促されます。かごの中でも巣があったり、大きめのエサ箱に小鳥が入ってじっとしている、床材をめくって中に潜る、など全部巣ごもり行動になり発情を促します。放鳥中も含めて小鳥がどこかに隠れたりできないようにしましょう。

恋愛対象
小鳥は女の子だけでも卵を産みますが、やはり恋する相手がいると発情が盛んになります。ただここでやっかいなのは、小鳥はなんにでも恋する事。同性の小鳥だったり、鏡に映った自分だったり、飼い主さんだったり、止まり木だったりします。基本的に恋する心は止められないので、可哀想ですが恋愛対象がわかったらそれを遠ざけてしまうしかないでしょう。一番悩ましいのが飼い主様に恋している場合です。飼い主さんに近づかないでくださいという訳にはいかないので、その場合はなるべく発情させない触れ合い方をしていただくようにします。ちなみに、とある獣医向けの本では発情対策で飼主さんに恋愛している場合、飼い主だとばれないように「飼主に変装してもらう」と真面目に書いてあったりもします^^;

このように様々な条件がからみあって小鳥は発情します。特にここであげたうち上の三つ(日照時間、栄養状態、気温)は下手にしてしまうと逆効果だったり健康を害しますので慎重にお願いいたします。

あと、卵を産んでしまった時に偽卵を置いて発情抑制する方法がありますが、個人的にはあまり勧めていません。
何故かというと、偽卵を温めさせる方法は、発情期の次にやってくる抱卵期という状態にさせて発情を終わらせようという方法ですが、当然抱卵期もいずれ終わりますので、そうなるとまたすぐ発情してしまいます。そもそも発情させない状態にしておかなけば根本的な解決になっていないケースが多いと感じています。

長々と書きましたが、本当は発情対策だけでまだまだ書くことがたくさんあります。
とにかくお伝えしたいことは女の子の卵づまりは怖いですよ、ということ。
本当に突然やってきますので、どうか油断せずにいてもらえたらと思います。