小動物の斜頚

斜頚という症状をご存じでしょうか。

文字通り、動物の頚(首)が斜めに傾いてしまう状況です。
これは、神経の異常により平行感覚がおかしくなってしまうためにおこる状態で、何かしらの神経異常です。

斜頚自体は、人間を含む様々な動物でおきますが、うさぎをはじめとする小動物には比較的おきやすい病気です。
今回は、小動物の斜頚について書いていきたいと思います。

斜頚の原因は?

・耳からの細菌感染
細菌性の外耳炎は、動物では比較的よくある病気ですが、それをこじらせてしまったり、最初から耳の奥で感染症が起きてしまった場合です。
耳の奥には鼓膜があり、鼓膜の奥には三半規管があります。炎症がそこまで及んでしまうと平行感覚がおかしくなってしまいます。小動物、特に草食の小動物は、細菌感染に弱いためこのような状態になりやすいです。

・エンセファリトゾーンの感染
エンセファリトゾーンという名前の生き物がいて、これに感染すると神経症状を発症する事があります。エンセファリトゾーンは分類上は細菌ではないのですが、一般の方のイメージとしては細菌みたいなものだと思っていただいて問題ないと思います。エンセファリトゾーンも感染自体は様々な動物にするようですが、主にうさぎや齧歯類で症状を起こすことが多いと考えられています。エンセファリトゾーンは直接脳に感染し、脳炎を引き起こします。その結果として斜頚を発症します。

・その他の原因
その他の原因として、頭部外傷、中毒、腫瘍などが考えられますが、稀だと思われます。

診断方法は?
100%正確な診断は現時点ではできません。うさぎでは、エンセファリトゾーンの血液検査が可能ですが、諸々の理由により、現在の症状がエンセファリトゾーンなのかを診断するにはその精度は100%とは言えないのが現状です。しかし、エンセファリトゾーンでは、斜頚の他にブドウ膜炎や白内障といった眼の異常が起こったり腎機能障害が出ることがあります。レントゲン検査や血液検査、年齢などと総合的な症状を併せて推測する事になります。

治療方法は?
細菌感染の場合は抗生物質、エンセファリトゾーンの場合は駆虫薬で治療していきます。ただし、これは根本の敵を倒す治療でしかないので、同時に神経症状に対する治療、その他合併症に対する治療を行ないます。
治ると言い切れる病気ではないですが、症状が出始めてから治療を開始するまでが早ければ早いほど治療の結果が良いように思います。

お家でのケアは?
・怪我のケア
斜頚の程度にもよりますが、転んでしまう事により新たに目を怪我したり骨折してしまったりするケースがあります。そのような事が無いように環境を整えてあげないといけません。具体的には、金網ケージに足を引っかけてしまいそうだったら、段ボールでもなんでもいいので仕切りを入れて足が引っ掛からないようにする。落下しないようにケージに段差があるなら外しておく。眼をこすってしまうようなら固い床材や牧草を敷いたりはしない。等です。

・食事のケア
斜頚の治療はそれなりの時間を要するので、その間の体力維持も大切です。発症直後は食欲も出ないケースが殆どですが、本人が斜頚の症状に良くも悪くも慣れてくると少しづつ食べるようになってくれます。また、初期に食べる物は、水分と栄養を同時取れた方が好ましいので、食べてくれるなら生野菜(特に野菜はぶつかって怪我することも無いので安全)や、ペレットのふやかしを少しづつ口に入れて食べさせてあげる形になります。

・精神のケア
斜頚は神経の問題なので、緊張興奮をなるべくさせない方が良いように思います。なので、少し狭めのところで薄暗くして静かに過ごさせてあげる形が初期は良いでしょう。


斜頚は、症状にインパクトがあり予後も原因によりかなり変わってきますが、治療法もあります。
おかしいなと思ったら早めの来院を特にお願いしたい病気です。